まずは靴の外観を。
A.S.BECK 変形?Uチップ サイズ US7C |
50~60年代の靴で時々こういうデザインを見かけます。 |
ただストレートチップじゃないしUチップじゃなさそうだし…。 一応今回は「変形Uチップ」としておきます。 |
アウトソールには「A.S.BECK」のロゴ。 インソールにはロゴは書いていませんでした。 |
調べてみると、ヤフオクに「A.S.BECK」のロゴが入ったヴィンテージの靴べらは出ていたのですが、ここのメーカーについて書いている日本語のブログはなく…。
ということで前回に続き海外の文献を漁ってみました。それによると…。
創業者はAlexander Samuel Beckさん。ハンガリー人で、1888年にアメリカに移住してきたようです。
もともとは精肉店や雑貨屋を営んでいたのですが、1909年に自分の兄弟とブルックリンで靴の小売店を始めています。
しかし仲が悪かったのかその関係を解消し、1914年にマンハッタンで小売店の再スタートをきっています。
1920年には13店舗まで増え、その後ダイヤモンドシューカンパニーというところへ会社を売却しているようです。
ちなみに1930年からニューヨークでお店が増え始め、最盛期には60都市、147店舗で構成されていたようです。(すげー笑)
しかし1970年辺りからお店がどんどん消えていき、1982年に最後の1店舗がなくなってしまいました。
日本の文献はほんとに出てこないのですが、昔のアメリカではけっこう一般的な靴屋さんだったんでしょうねー。
さて靴のお話に戻りましょう。
店舗がたくさんあったことからもわかるように、恐らく比較的リーズナブルな大衆靴をメインに扱っていたと思われます。
この靴のディテールを見てみると…。
ステッチが4本! ガッツリ縫っていますね…。 |
そしてわかりにくいのですが、「ハーフミッドソール」仕様になっています。 |
強度を高めるためにソール全体に革を多く積んでしまうと(ダブルソールなど)、靴自体の返りが悪くなってしまいます。
そのため、強度を維持しつつ返りの良さを実現するためにこういった仕様がなされます。
うーん。昔の靴は手頃な大衆靴でもこういった工夫がされていたりするので、やっぱりたまらないですね。
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